ロシアの文豪、レフ・トルストイの短編『人は何で生きるか』(中村白葉訳・新潮社『世界名作選』は、民話を通じて、人の生き方を描いたものだ。ドーピング疑惑の中で出場し、暫定4位に終わった女子フィギュアのロシア、カミラ・ワリエワ(15)の騒ぎを見ていて、ついこの民話を思い出し、読み返した。そこには興味あることが書かれていた。 この短編は、以下のような内容だ。貧しい靴職人セミョーンは、秋になるとコツコツ貯めた少ない金を持って毛皮の外套を買いに村へと出かける。途中、靴の修理代金を農民からもらって、足しにしようと思った。しかし、返したもらった金は少なく、仕方なく彼は外套を買わずにウオッカを飲んで家路につく。…