大阪・新世界。串かつの香りとソースの熱気が満ちる通りを抜けると、時の流れがふっと緩む一角がある。ジャンジャン横丁は大正時代から続く商店街。呼び込みの三味線の音がジャンジャン響いたことから名付けられた。せま〜い商店街に古き店が並ぶ。そこに、黒い木の扉と、ガラス越しに光をためたショーケースが静かに立っている。 「千成屋珈琲」。昭和23年、1948年創業。ミックスジュース発祥の店だ。 ガラスの向こうには、琥珀色や翡翠色のクリームソーダ、パフェの模型が並んでいる。どれも少し霞んで見えるのは、時間の膜をまとっているからだろう。 扉の文字は白く、「千成屋珈琲」「創業 昭和23年 1948」と書かれている。…