《日本人は時代の空気に順応しやすい。「そんな人たちは、戦争の悲惨の記憶が失われて、時間が悲惨を濾過(ろか)し美化していくと、それに酔い心地となって、再び殺戮(さつりく)に熱中する人間に変貌する可能性があるのじゃないでしょうか」(半藤一利『あの戦争と日本人』)》(2月14日付東京新聞社説) 原文を追ってみよう。 《真珠湾奇襲の大戦果に少なくともほとんどの日本人の大人が気の遠くなるような痛快感を抱いたのですね》(半藤一利『あの戦争と日本人』(文藝春秋)、p. 35) が、半藤氏は直前に多数の知識人の反応を取り上げている。 「大変であろうがなかろうが、もうこれ以上我慢できないのだ。国民はみな大変に臨…