エルサレムが滅びる直前。 完全に包囲された城内はすでに食料も尽き、悲惨な状態だった。 そのような中で王ゼデキヤとエレミヤは密かに会った。 親エジプト派の高官にその内容を聞かれたら大変だ。 王もエルサレムの危機が近いことを肌身に感じていた。 だから、エレミヤを、エレミヤの信じる神を頼ったのだろう。 主の宮の第三の門にエレミヤは立っていた。しばらくすると、王が柱の陰から姿を現したので、彼は臆することなく近づいて行った。 「よく来たな。お前に訪ねたいことがある。以前から『バビロンに降伏せよ』と言っていたが、今もそれは変わらないのか?」 エレミヤは王から一歩退いて、目を伏せた。 「心配するな。お前が何…