禅宗の公案。無門関第十四則。南泉和尚と呼ばれた唐の時代の名僧の山寺に一匹の子猫が現れ、この猫をペットにしようと争いが起きた。南泉和尚は子猫の首をつかまれて「大衆道ひ得ば即ち救ひ得ん。道ひ得ずんば即ち斬殺せん」と問い、答えがないのを知ると子猫を斬り捨てた。寺に帰ってきた高弟の趙州に南泉和尚がことのあらましを教えたところ、趙州は靴を脱いで、頭上に乗せて外出した。南泉和尚は「趙州があの場にいれば、子猫は助かったのに」と嘆息した。所有欲の無為を諭す教えと思われる。
公案のなかでもとりわけ難解なものとして知られ、三島由紀夫『金閣寺』の主要モチーフにもなっている。上記の要約も三島のこの作品に依った。