2008年度ノーベル物理学賞賞受賞者の益川敏英先生が先月7月23日に亡くなられたとの報道があった。稀有な独創的研究者であった益川さんの個人的思い出を備忘録的に書き留めておく。 1) 私が学生だったとき、益川さんは素粒子論研究室の助手だった。この研究室には助手の先生が3人いて、後の二人は坂東昌子さん(後の愛知大学教授、日本物理学会会長)と小林誠さん(2008年度ノーベル物理学賞受賞)だった。助手は3回生の演習を受け持っていた。私の解析力学/量子力学力学の演習の担当が坂東さん、電磁気学演習担当が小林さんだった。 演習のクラスはいくつかに分かれていて、他のクラスを益川さんが担当していた。そのクラスに…