大野光明・小杉亮子・松井隆史 編(新曜社 2022年7月 A5版200頁) 本書は、2018年12月に社会運動史研究の「新しいメディア」をめざして立ち上げられた『社会運動史研究』の第4号で、今回は、「越境と連帯」をテーマにした特集である。 「権力を持たない市政の人びとが社会を動かすためには、他者と手をつなぎ、力をつくり出す必要がある」(p.6)。 「越境と連帯」は社会運動にとって、本質的で普遍的なものである。この特集では、日本の「戦後」、正確に言えばアジア太平洋戦争後の、特に冷戦期における越境と連帯の運動史を対象とした論考やインタビューが掲載されている。 3人の編者による冒頭の総論では、歴史的…