人をけなすとき,「褒めちぎる」つまり反語法をつかってけなすというとんでもなくひねくれものの「オリガ・モリソヴナ」という女性の,一生の物語。 この物語は1930年代スターリンの行った粛清の波にのまれた女性たちの物語を追う形で進む。 革命や共産主義への大転換というあらしの中で,木の葉のようにもまれながら,自分であることを曲げてでも,女たちは生きることを選ぶ。 命のバトンをつなぐものとして,生きることを決してあきらめない,女性の強さは時に痛々しい。 大きな流れに一人で歯向かっても無駄なのだけど,それでも歯向かう強さは何のためなのだろう。何も変わりはしないのに。 けれど私にもそんな不毛なまっすぐさを出…