昔、泌尿器科の医師の講演を聞いたことがある。わりと専門的なテーマだったのだが、講師の自己紹介で、「〇〇病院の泌尿器科の〇〇です。私を呼ぶときは、かならず泌尿器科の、と呼んでください。よく病棟で看護師さんに「泌尿器の〇〇先生」と声を掛けられることがあるのですが、これは「ち〇この〇〇先生」と呼ばれているのとおなじことなので、必ず「か」をつけてください。」といって笑いを誘っていた。その世界では大家のはずなのに気さくでサービス精神旺盛な先生で記憶に残っている。 さて、この小説は「名探偵外来」ということだが、舞台になっているのは泌尿器科外来である。探偵役は泌尿器科医で、転がり込んでくる患者は、泌尿器科あ…