江戸・東京市民の楽しみ(昭和時代)256買い出しもレジャーの昭和十八年秋 十二月には、太平洋戦争を始めて三年目に入る。アメリカとの戦争前、中国での戦争では、日本本土での戦火はなく、東京市民はまるで他人事のようであった。しかし、ここに至って、我が身のことと感じるようになってきた。それにもかかわらず、政府や軍部に批判を向けようとはせず、困窮生活を押し進めている。 それは、生活物資の欠乏が当たり前になり、十二月の「靴の“修理券”」に象徴されるように、靴を配給することすらできなくなっている。さらに、労働力の不足だけではなく、とうとう兵力も不足していることが明らかになった。十月の学徒出陣に至り、戦争を続…