其の九十二 君に届けこの歌♪ … ただ 君を 想ってた… 1982年 村下孝蔵 ゆうこ 記憶の影にぽつりと座(すわ)り 淋しげに 白い指先 ピアノを弾く女(ひと) 「ショパンが好きよ 悲しい調べ奏でれば 恋のできな私に似合い」と言った女(ひと) どんな過去が君を変えてしまったの 瞳の翳りが せつなすぎるよ 言い出せない愛は 海鳴りに似ている 遠くから 絶え間なく寄せ胸を強く揺さぶる ピアノの音はどこか冷たく あの女(ひと)は 壁に掛かったモナリザのように 子供のような僕のことなど見もせずに 真珠のように かたく心閉ざしてる かけがえのないもの 失くしたあとは どんなに似たものも かわれはしない…