先日、ちょいと値の張りそうな料理屋で、知人が言うには。ーーー近頃は、居酒屋で酒を飲むのはいいが、肴がない。 あるにはあるが、そのほとんどが口に合わない。理由は、はっきりしている。長年の美食が祟って、わが味覚は極端に鋭敏となり、少しでも雑味を感じると、口が喉が体が、うけつけない。 ビールは、所詮、水みたいなものだから、よほどのことでない限り、のどを通る。店員から、アサヒかキリンかと問われて、ドライ、と一言で済む。問題は、肴である。料理である。 これが不味い、とことん不味いのだ。いかほどの店であっても、十中八九、まずい。そりゃそうだろう。料理人は私の体調や機嫌を伺って、誠心誠意、私のために料理をこ…