アルバイトが休みの日、ひさしぶりに落語を聞いていた。 演目は『藪入り』である。奉公に出ている息子が、藪入りで帰ってくることで小さな波紋が起こるというはなしである。 藪入りというのは、商家などに働く従業員がその店から実家に帰るのが、1年に2度だけで、それが夏の旧暦7月での『藪入り』と冬の『お正月』なのである。 われわれが、子供の頃でも、こうした藪入りの制度というのは、ほとんど廃れていて、わずかに8月のお盆やすみのときに、年寄りたちが、多くの商店が休みにはいるので、『藪入り』ということばを使っているにすぎなかった。 藪入りの語源というのは、いろいろあるらしいのだが、よくいわれているのは、「やぶの深…