守貞謾稿という書物がある。なんでこの書物の存在を知ったのか正確には覚えていないが、何かの本で読んだのだと思う。それもほんの2年ぐらい前だったのだから、まだまだ知らないことが多いものだと、嘆息する。 著者の喜田川守貞は幕末の人で、もともとは大阪生まれだが、二十代後半で江戸に移り住んだようだ。その時京・大阪と江戸の習俗が違っていて、それに興味を覚えたのか、せっせと記録し始めた。それもわざわざ、京・大阪と江戸に言及しながらである。守貞は絵心もあったようで、図録も多数書かれていて、1800年代の京・大阪と江戸の習俗を知るうえで貴重な史料となっている。 興味を持ったので出版されている本がないかと思い調べ…