序文・大正天皇の入学祝 堀口尚次 ランドセルは、日本の多くの小学生が通学時に教科書、ノートなどを入れて背負う鞄である。江戸時代〈幕末〉、幕府が洋式軍隊制度〈幕府陸軍〉を導入する際、将兵の携行物を収納するための装備品として、オランダからもたらされた背嚢(はいのう)〈バックパック〉のオランダ語呼称「ransel〈オランダ語版〉」(「ランセル」または「ラヌセル」)がなまって「ランドセル」になったとされる。 幕末の教練書である『歩操新式』の元治元年版にも「粮嚢」の文字に「ラントセル」の振り仮名が付されているほか、画像としては一柳斎国孝筆の双六(すごろく)『調練仕方出世寿語禄』に描かれている、韮山笠を被…