46. 『三四郎』外伝(1)――森の女と云う題が悪い さて「目次」が最後に来てしまったが、前回の45回まででひとまず『三四郎』の回はお終いである。 次は『それから』になるが、その前にインターバルとして、余計なことをいくつか書くことにする。これはあくまで小論の「番外篇」であって、論者としては(誰でもそうであろうが)最初から、漱石に対して否定的な言辞を弄する気持ちは少しもないことを、あらかじめ断っておきたい。 まず『三四郎』のエピローグに関連して、三四郎の作中での最後のセリフ「森の女と云う題が悪い」については、その通りであろう。読者としてもその通りであると言わざるを得ない。あの美禰子の、ちゃんと着…