山岡鉄舟(幕末から明治にかけての剣豪、無刀流の祖、江戸無血開城の立役者)に商才を見込まれ、剣の道から実業の道を歩むよう諭され、一代にして大資産家となった商人が、鉄舟に商売のコツを聞かれ、次のように答えたとのことである。 「商売がうまくいって少しばかり金ができたので、もっと儲けようと商品を仕入れたら、相場が下がってしまった。早く売り抜けようと焦ったら買い叩かれるはめになった。そこで、どうにでもなれと放っておくと、値上がりしたので、今度は強気になって売り惜しむと、値下がりして結局損をした。商売を成功させるには損得に執着しない。執着すると判断も鈍ってしまう。そのためには、自分のためだけを第一に考えな…