先々月に観賞した『彼女たちの舞台』と先日に早稲田松竹で観てきた『地に堕ちた愛』(『彼女たちの舞台』と同じく20年以上ぶりの再観賞だが、今回は3時間の完全版)は、どちらもジャック・リヴェットによる「演劇」を主題に用いた作品である。「女優」に特化したキャスティングや作品に一貫して通底しているミステリアスな雰囲気は共通しているが、「演劇」においての決定的な違いが存在する。『彼女たちの舞台』では、リハーサルしか描かれていなかったのにたいし、『地に堕ちた愛』では、実際の上演が序盤と終盤に2回行われ、そのあいだに挿入された1週間のリハーサルが創造の秘密と屋敷内に潜む謎を漸次的に明かしていくような構造になっ…