鎌倉政権の重鎮、三浦一族の密かな政争を、三浦義村、光村親子の二代に渡って描いた中編小説。鎌倉幕府初期の政争を、三浦一族の側から描いたという意味でとても面白いです。「鎌倉殿の13人」の三浦義村の暗躍、葛藤、権謀術数をこの作品で堪能できます。 クライマックスは源実朝の暗殺です。殺したのは公暁、源頼家の息子ですが、公暁を駆り立てた人物は、公暁の乳母父であった三浦一族。しかし、三浦一族は、実朝暗殺事件で誅せられていません。すんでのところで三浦義村は公暁を捨て、北条一族に味方し、家を存続させました。 三浦義村の息子、三浦光村は公暁に味方しようとしたのに父に止められ・・・。 その時から、光村の屈折した思い…