オリオン・クラウタウ編『村上専精と日本近代仏教』(法藏館、令和3年2月)では、複数の論者が村上『仏教統一論第一編大綱論』(金港堂、明治34年7月。以下単に『仏教統一論』という。)及び境野黄洋「仏教統一論を読みて」(以下「批評」という。)収録の『仏教統一論第一編大綱論批評集』(金港堂、明治34年12月)に言及している。先日の平安神宮古本まつりで不死鳥BOOKSの200円均一箱から、その境野旧蔵の『仏教統一論』を発見して驚いた。しかも、多くの書き込みがあった。 この書き込みも、境野による可能性がある。境野の「批評」では、村上による大乗の三法印と小乗の三法印の混雑を批判して、次のように述べられている…