うだるような暑さのなか、日ごと通う美術展がある お気に入りの一枚があって水色の背景が淡くにじみ、次第に濃い青に変わっていくさまがじつに見事なのである たなびく雲のあるところは薄いピンクから暗い赤へと繊細なグラデーションを描きまたあるところは、オレンジが金色に輝いている 時を忘れて、360度見渡せる大きな部屋のその絵に見入っていると ときおりひんやりした風がふいてきたり家路にむかう鳥の鳴く声が遠くに聞こえたりぷーんと魚を焼くにおいがすることがある あいにくなことに『夏の夕暮れ』という鑑賞会は 終了の時刻が日に日に早まっている //