長い冬の夜が始まった。戸外は雪明りで、夏の夜とは比べ様もない程明るいが、ここⅮ型ハウス内の0番地は、闇の世界だ。ここに明かりが灯るのは、夜に旦那さんや奥さんが馬達に餌をつけに来るときだけだ。 楽しみにしていた餌を食む馬たちは騒々しい。吊るされた飼い葉桶をガンガン、ゴツゴツと壁にぶつけながら食べるんだ。大きな口に頬張った餌をゴリゴリとリズミカルにすりつぶし、時折鼻の穴に入り込む餌を振り払おうと顔をゆすり「ブオーン!」 と鼻息を一気に放出する。凄い音だ!いつもの事とはいえ、生きるエネルギーに溢れているね。 しばらくすると馬たちは眠りについたのだろう。静かになった。夜も更け、熟睡する子供らの側でまど…