●歌は、「遠つ人松浦佐用姫夫恋ひに領巾振りしより負へる山の名(大伴旅人 5-871)」、「我が盛りまたをちめやもほとほとに奈良の都を見ずかなりなむ(大伴旅人 3-331)」、「忘れ草我が紐に付く香具山の古りにし里を忘れむがため(大伴旅人 3-334)」、「しましくも行きて見てしか神なびの淵はあせにて瀬にかなるらむ(大伴旅人 6-969)」他である。 「古代史で楽しむ 万葉集」 中西 進 著 (角川ソフィア文庫)の「大伴旅人」を読み進んでいこう。 「祖先の英雄大伴佐提比古(さでひこ)の征韓の船を見送って領巾(ひれ)を振ったという佐用姫の伝説を取り上げた旅人の気持には、引きかえてあまりにもいたまし…