岩波文庫157ページ「進歩也錯(しんふやさく)、退歩也錯(ついふやさく)、一歩也錯(いふやさく)、両歩也錯(りょうふやさく)なるがゆゑに錯錯なり。天地懸隔(てんちけんきゃく)するがゆゑに至道無難(しいどうぶなん)なり。威儀儀威(いいぎぎい)、大道体寛(だいどうたいかん)と究竟(くきょう)すべし。」 現実の世界で生きるということは、前に進んでもあやまりであり、退いてもあやまりであり、一歩踏み出す、二歩踏み出すのもあやまりであり、生きるというのはあやまりの連続である。けれど大宇宙の広大さの中では真実に至ることは難しいことではない。大宇宙の真理に従って行動することにより備わる威儀があり、釈尊のおっし…