若い時代劇好きの人は『遠山の金さん』や『大岡越前』などの「町奉行所」より、『鬼平犯科帳』のような「火付盗賊改方」(略して火盗改)の方が荒々しく、取り締まりが厳しいのはなぜかと疑問に思うことはあるであろうか? 火盗改と言えば、『鬼平犯科帳』の長谷川平蔵の他、私は『雲霧仁左衛門』の安部式部、*1『江戸を斬る III』(1977)の脇坂重蔵(死神の重蔵)(成田三樹夫)を思い出す。 一言で言うと、町奉行は「役方=文官」であるのに対し、火付盗賊改方長官は「番方=武官」だからである。 余談だが、時代劇の悪役で「大番頭」(おおばんがしら)という役職が時々出てくることがあるが、実はかなり偉い役職である。江戸幕…