大月康弘氏のヨーロッパ史 拡大と統合の力学を読んだ。タイトルからEU統合への歴史的な経緯について書かれているのかと思っていたのだが、そういう本ではなかった。これは正にヨーロッパの歴史で、古代ローマ時代から散発的にみられる汎ヨーロッパ的な出来事に着目し、国別の歴史ではない、ヨーロッパ全般を俯瞰した歴史について探求している。この本を読んでやはりというか古代ローマ帝国がヨーロッパに与えた影響の大きさを改めて感じた。また、我々は西ローマ帝国の滅亡という歴史的な出来事を認識しているが、本書には、当時の人々は「滅亡という感覚を持ち合わせていなかった」と書かれていて、これは新しい視点だった。皇帝は退位(廃帝…