シリーズ「日本文学の展望を拓く3」(笠間書院)は、小峯和明監修・原克昭編『宗教文芸の言説と環境』。コラムに奥山直司「物言う石ーーE・A・ゴルドンと高野山の景教碑レプリカーー」があった。ゴルドン夫人が明治44年高野山に建てた「大秦景教流行中国碑」(景教碑)のレプリカは、原碑にない特徴があるという。それは、碑陰上部に一切偏知印が刻まれ、その下に「玄奘上高昌王麹文泰書」と題された二十五行にわたる文章が刻まれていることだという。前者は、「白蓮華の上の光焰に包まれた三角形で、その中央と頂角上とに右卍字が刻まれている」。 ゴルドン夫人は、一切偏知印を東西の思想交流を示すものとして重視していた。石碑がキリス…