とらふすクラシック・270 彼らの「白鳥の歌」~華麗なる饗宴2022~ ピア二スト 天羽博和 今回の「華麗なる饗宴」ロマン派シリーズ第4弾では、2人の楽聖の晩年の作品を取り上げる。本来ベートーヴェンは古典派の作曲家だが、作品90以降はロマン派と呼んでも構わないのではないか。それ以前の作品と比べて技巧的な表現は影を潜め、声楽的な要素が非常に強いことが共通点である。ピアノが歌える楽器に進歩し、そこにベートーヴェン自身が気づいたことに他ならない。最後から2番目に書かれた「ピアノソナタ第31番作品110」には、栄光と挫折、裏切りと希望が描かれ、まるで、このまま天に召されてしまうのではという境地にさせら…