町の裏通りを散歩していたら、 武家屋敷のような建物でお雛様の展示をやっていた。 ちょうど開催したばかりらしく門が開いており、 2、3人のボランティアらしき人たちが座敷で休んでいる。 簡素な日本庭園には赤い毛氈で茶席が設けられていたが、 参観者はたったひとり、私だけだった。 昔の屋敷だからガラス窓もないので、外から部屋全体が見渡せる。 昼なお暗い座敷に艶やかな飾りがひっそりと浮き立っている。 上がりかまちを踏み、畳の部屋に入っていくと、 たくさんの雛人形が飾ってあった。 江戸時代のものは少ないけれど、 明治時代や昭和初期のものが多くあった。 雛祭りは『節句』の一つである。 節句とは年の特別な行事…