深沢七郎の短編小説「楢山節考」は、長野県を舞台にした姨捨山伝説という民話をベースにしています。実話かどうかは分かりませんが、恐らく昔の貧しい農村ではそれに近い話はあったのかなと推察できます。作物が良く採れない寒村では、養うべき人間のキャパシティーは限られている。そこに新しく子供が生まれると、食べる作物がその分余計に必要になるので、もう労働力にならなくなった老人を雪山に連れて行って凍死させる、強制的に”口減らし”する風習です。現代では残酷に見えますが、江戸時代などでは、全員の餓死を防ぐという観点から自然なことだったのかも知れません。 小生は小学校時代、母親に連れられて田中絹代主演の松竹映画「楢山…