昭和49年1月のわが大学の学年末は混乱していた。 大学が来年度入学生からの学費値上げを決めたことから、学生自治会が反対し、大学封鎖の状況となったからである。 この時期は下火になってきたとはいえ、学生運動の残り火が燃えており、これからはじまる学年末試験、大学入試をひかえて大きな問題をかかえることになった。 在学生であるわれわれは、学年末試験が平常どおり行われるのか、あるいは、レポートでの試験となるのか、やきもきしながら、その行方を見守っていた。 A「おい、学年末試験、どうなるかなぁ?」 B「ああ、レポートだといいなぁ」 A「なんで?」 B「おれ、去年、単位が取れない科目があったんだよな。それを加…