第一次(2006-2007)、第二次(2012-2020)と長きにわたった安倍政権の歴史的評価が定まるのはまだ相当に時間がかかるだろうが、本人がどのようなことを成そうとしたのかについては、数多く行われた演説を読むだけでもかなりのことを知ることができるように思う。 本書では、安倍元総理の外交スピーチライターとして活躍した著者が主に手がけた演説の要所をとりあげて、わかりやすく解説している。全体を読み通すと、安倍政権の外交政策が目指したこと、実現したことについて大づかみにわかってくるような仕掛けになっている。 本書から、安倍氏の最大の政治的関心は、日本が置かれている安全保障環境の改善にあったと読める…