「人類は、その出現以来、移動狩猟採集民として歴史の99%を生きてきた。キャンプを次々と移動させる遊動生活は、人類が出現して以来、数百万年以上にもわたって続いてきた暮らし方であった。 遊動生活とは、ゴミ、排泄物、不和、不安、不快、欠乏、病、寄生虫、退屈など悪しきものの一切から逃れ去り、それらの蓄積を防ぐ生活のシステムである。移動する生活は、運搬能力以上のものを持つことが許されない。わずかな基本的な道具の他は、住居も家具も、さまざまな道具も、移動の時に捨てられ、いわゆる富の蓄積とは無縁である。 掛合 誠は、遊動する『狩猟採集民の社会では、生態・社会・文化のシステム全体が〈妬み〉を回避するように機能…