あれは、驚いたなあ。飛行機に乗っていてジェットコースター状態になったのである。台風の影響だった。 いきなりドーンと落下した。軽い悲鳴の後、乗客から照れ隠しの笑い声がもれた。だが、そんな落下が繰り返されると、すっかり余裕がなくなり口から出るのは本気の悲鳴である。一瞬に落下して、体が宙に浮くのだ。ベルトをしていなければ、天井に張り付いていただろう。 斜め前のオッサンは悲鳴を上げた直後に落下して舌を噛み、その隣の婆さんはへそを噛み、私は隣席の美少女の首を噛み、まさに地獄絵図である。 乱気流から何とか逃れ、間もなく着陸とのアナウンスがあり、やれ嬉しやとホッとしたのもつかの間、高度を下げる飛行機の進路が…