宣読する勅命の意味で天皇の命令を伝える文書の一形式。 詔勅のうち宣命体で書かれたもの。 なお、聖武天皇以前は日本の創世神話、日本書紀の文字を引用する正統性を示す例*1が多いが、律令時代になって、皇統も天武天皇系から天智天皇系に換えてゆく共に、桓武天皇の宣命では天智天皇の法によってという律令性重視*2の形になってゆく。
宣命体は、宣命を書き記した文体。抽象的な語句を連ね、対句を多用し、荘重な感じをもつ。また、仏語・漢語も用いるが、全体に国文的な要素が強い。また、その表記様式も宣命体とされる。
*1:たとい:高天原に神留坐皇親神魯岐、神魯美命、吾孫將知食國天下と與佐し奉しまにまに、高天原に事はじめ而、四方食國天下の政を、彌高彌廣に天日嗣と高御座に坐而、大八嶋國所知倭根子天皇の大命に坐詔く。
*2:たとい:掛畏近江大津乃の宮に御宇し天皇天智の敕賜ひ定賜へる法隨に被賜て仕奉と仰賜ひ授。