宮下誠

大学で一番好きだったのは、何気に現代西洋美学の授業でした。 ピカソの偉大さを論理的に、ダビンチから順に絵画史という点で追いかけていくという授業でした。 恩師であった先生にたまたま転学しても教わり続けることができて、僕は美術館に通う生活をしていました。 逸脱する絵画 (20世紀芸術学講義) 作者:宮下 誠 発売日: 2002/05/01 メディア: 単行本 そして、油絵というジャンルが持っている２次元性がピカソによって解体され、絵画が時間を取り込む過程っていうのと、取り込んでしまってにっちもさっちもいかなくなるというジレンマを習ったわけです。 で、今回は漫画ブルーピリオドを紹介したいと思います。…

というわけでここからここからマーラー交響曲全部聴きに入ります。 めぐめぐはそこそこの音楽を人生で聞いてきていると思いますが、 何しろピアノとオルガン弾きなのであまり交響曲を聞くことがありませんでした。 マーラ―の交響曲は家にはCDがなく、昔習っていた先生のお宅のCD棚にマーラー 交響曲のCDが並んでいた記憶があります。 でも今まで一度も聞いたことがありませんでした。 ということでこの本 20世紀音楽 クラシックの運命 (光文社新書) 作者:宮下 誠 発売日: 2006/09/15 メディア: 新書 に出会い、おうち時間が増えたという機会が出来ましたので マーラー交響曲全曲にチャレンジしました。…

さて、前回、非具象絵画の鑑賞ポイントは4つあると述べました。 ①色と形と材料の関係 ②大きさ ③カンヴァスの形 ④題名 この4つですね。 ↓参考記事 s-mn42.hateblo.jp 今回はそのなかから、①色と形と材料の関係について考えてみたいと思います！ まずは、色についてです。 色彩の革命が起こったのは、印象派の頃でした。 それまでは現実に即した色を用いており、原色がそのまま用いられることは稀でした。 （補足すると、長い目で見れば中世やルネサンスの聖人には、まばゆい青や金色が使われています。しかし聖人限定です。一般の人々には用いられません。ほかにも《青いターバンの少女》のターバンは青くて…

初めての投稿です。 このブログで今聴いている20世紀の音楽について書いていくことにしました。 きっかけは宮下誠さんの ２０世紀音楽～クラシックの運命～ (光文社新書) 作者:宮下 誠 発売日: 2014/06/27 メディア: Kindle版 をkindleで読み始めたことです。 是非曲を聴きながら読みましょうという宮下さんの言葉をちゃんと聞いて始めたのですが、これがなかなか面白いのと、意外とこれを毎日書いたら楽しいかな。 と思ったからです。 私は基本的にピアノと少しオルガンを弾くので、 好きな作曲家はショパンとリスト。。。 ということで感想が素人だと思いますが、 20世紀の音楽のよさを伝えて…

ゴッホの絵について、昔ゼミの美術館見学で、教授とお話ししたことがありました。 「先生はなにか絵に感動したことはありますか？」 私がそう尋ねたのは、ダニエル・アラス『モナリザの秘密―絵画をめぐる25章』（白水社、2007年）を読んだためでした。 ダニエル・アラスが「絵が立ち上がってくる瞬間」と表現する瞬間について、つまり絵が現実味をもって見えてくる瞬間が本当にあるのかを、先生に尋ねたのです。 先生はこう答えてくださいました。 「うん、あるよ。昔ね、母を連れてヨーロッパの美術館に行ったのだけれど、そこでゴッホの青い絵を見たの。それがすごくて。帰りに母が話したのは、いろんな絵を見たけれど、あのゴッホ…

この作品を見たときわたしたちが直感する尋常ならざる気配 -宮下誠『20世紀絵画 モダニズム美術史を問い直す』光文社、2005年、p. 80 参考：簡略図 【作品分析】 ①背景の青い空：短いストロークが並行に描かれる「絵具そのもの」 ②黄色い家：平坦に描かれる。青い背景の方が浮き立って見える ③手前の黄色い空間、不明瞭な土坡：絵具が目立つ ④これら3つの要素：異常な絵具の物質感、不明瞭な空間の存在感、急な遠近法 →視覚的幻惑、眩暈のような感覚に襲われる 【絵画的効果】 ①不明瞭なモチーフに絵具が過剰に乗せられる →必要以上に、画面の表面に観客の意識を集中させてしまう ②この不明瞭なモチーフは、ゴ…