「問題小説」(2011年7月号)、「読楽}(2013年9月号、2016年5月号)、「小説新潮}(2014年7月号)に短編4作が発表され、これに本書の題名と同じタイトルの短編が書き下ろされて、計5作の短編集が2016年10月に単行本として出版された。2019年10月に文庫化されている。 奈良時代の歴史事象に題材を得、史実の空隙を著者が創作し紡ぎだした短編歴史小説と言える。 「凱風の島」と「南海の桃李」は753年(天平勝宝5)の遣唐使の帰国の状況並びに南海の航路に関係した題材をテーマに取り上げる。 「夏芒の庭」は大学寮の学生たちの視点から眺めた757年(天平宝宇元)の橘奈良麻呂の乱を中心に当時の宮…