風吹かば吹け:大林清 1950年(昭25)4月~1951年(昭26)12月、雑誌「新婦人」連載。 1954年(昭29)東京文芸社刊。装丁は風間寛。 冒頭の戦争末期、昭和19年の別荘地軽井沢での作中人物の登場の仕方を読むと、その性格設定が「風と共に去りぬ」の人物像を容易に連想することができる。かといって作品そのものは翻案でもパロディでもなく、その類型的な人物像がなじみやすい程度でしかない。美貌なうえに自信家で行動的なヒロイン、一見ニヒルだが鋭い洞察力の先にスケールの大きさを感じさせる男、そしてヒロインが思いを寄せる青年華族はその期待とは裏腹に地味で引っ込み思案な女性と結婚してしまう。それらの人物…