昭和を駆け抜けた韓国人の、その暴力と性と身勝手さが突き抜けており、ドライブ感に圧倒されました。ただ、読後にはどんよりと胸の底に苦しいものが残る、イヤミス的な(ミステリではないけど)感覚を憶えました。 本作は筆者である梁石日氏が父親をモデルに執筆したもので第11回山本周五郎賞受賞作品。 独善、放蕩、意固地、暴力等、およそ家族を持つのにふさわしくない性格の主人公金俊平が正妻と妾と多くの子供達を成して、また事業でも成功するも、晩年は北朝鮮へ帰国し死去するまでの物語。 正妻の英姫、どうして逃げなかったのか もっとも印象的なのは、家族(金俊平?)という呪縛のような逃れられない繋がり。 暴力的な夫を持った…