確かに 1970 年代の後半から、自己愛性の傷つきに対する敏感性の高い統合失調症や行動 化の激しい境界例に対する治療展開を基盤に、精神分析療法から精神分析的心理療法への 展開には画期的なものがあった。しかしその展開はさらなる発展をしているのか。当時の 精神分析と精神分析的心理療法の基軸における一貫性は維持されているのか。本質的なず れが生じてはいないのか。少々長い引用になるが、Freud(1918)の基軸を確認してみよう。 「ある幼児神経症の病歴より(狼男の症例);下線筆者」の抜粋である。 『もし神経症患者が、現在から関心をそらし、彼の空想の退行的代理形成物に固執すると いう困った特性を持って…