前記事でご紹介した「交響曲 第25番 ト短調 K.183(173dB) "小ト短調"」が書かれてからほぼ半年後の1774年4月6日、音楽のもう一つの至宝が新たに顕現しました。 同じ交響曲ジャンルにおける「第29番 イ長調 K.201(186a)」がそれです。 前記事でも述べたように、上の小ト短調交響曲が成ったのは、モーツァルトがウィーンから帰郷した直後のことで、それに先立つイタリア旅行後の4つの交響曲とは大きく趣きを異にしていますが、これはイ長調交響曲にもそのまま当てはまります。 その変化を標語的に言えば、「世俗的・表面的な華やかさから高踏的・内面的な細やかさへの希求の移行」とでも表現できるよ…