先月のある晩、T先生とおっしゃる兵庫県の鍼灸師の方から我が家へ電話があった。面識の無い年配の先生からいきなりお電話を頂戴し驚きを隠せなかったが、お話を聞いてみると、どうも先年他界された小寺敏子先生の勉強会の古い名簿に私の名前があったので連絡させて頂いた、とのことだ。 T先生のお話によると、六年前に九十五歳で他界された、知る人ぞ知る日本古典鍼灸界の重鎮、小寺敏子先生が生前出版を計画されていた古典医書の編集と製本が、ご遺志を継ぐ人たちの熱意によってこの度ようやく完成したので、ご縁のある先生方に連絡しているのです、とのこと。 確かに私は学生時代にしばらく小寺先生の鍼灸古典の講読会の末席に加えて頂いて…