(こいしきあだ)1911年(明44)樋口隆文館刊。作者の小川霞堤(かてい)については生没年や略歴のほとんどが不明。残された作品の年代から見ると大正期の3カ年(1916~18) しかない。名前の霞堤については、共作者の黒法師が多作家の渡辺霞亭(1864-1926)の変名であり、霞の字をもらって出世作を売り出すにあたって霞亭(黒法師)の補筆を受けた弟子だったのかもと推定できる。しかし一本立ちして数年で早逝したとも考えられる。別の推理では、小川霞堤も渡辺霞亭の変名の一つで、一時期のみ使ったのかも知れない。文体の平易さ、芝居の場面転換のような間の取り方、会話の細かさ、などの筆法はよく似ている。美人では…