「国連幻想」の好例として小沢一郎『日本改造計画』(1993年刊)がある。 《冷戦時代の国連は、米ソによる覇権争いの場だった。このため、双方の拒否権によって何ひとつ有効な平和維持政策をとれなかった。東西両陣営の上に浮いた存在だったといえる。ところが、ポスト冷戦の時代に入るや状況が一変した。ソ連が消滅してイデオロギー闘争が終わると、長い冬眠から覚めたかのように、国連の活動がにわかに活発化してきたのである。 米ソの対立にともなう拒否権の乱発が姿を消したからだ。ソ連の継承国家であるロシアはいまだに国内が混乱し、中国は共産主義体制を維持しているものの、基本的には西側諸国との協調路線をとっている。かつての…