とても読みやすくて分かりやすい史学史であった。それがとにかく素晴らしい。 歴史学のトリセツ ──歴史の見方が変わるとき (ちくまプリマー新書) 作者:小田中直樹 筑摩書房 Amazon 本書は、歴史をするということの営みの歴史、史学史の本である。そして、そこを貫くのは、「歴史って面白いですか?」という問いである。 まず、著者は、高等学校歴史教科書『現代の歴史総合』の記述を取り上げる。その特徴を三つあげる。一つは、国家を分析単位とするナショナルヒストリーに傾斜していること、二つ目は専門家である歴史学者が、知識が欠如している非専門家である生徒や学生のみなさんに対し一方的に教え込むという「欠如モデル…