作曲のレッスンで 作曲教室のある生徒は音楽理論の逐一を質問した。質問に答えながら自分も再発見する事があり楽しかったが、和声の各パートの音域の理由や、開離配分と密集配分の効果の違いにまで質問が及ぶと、自分自身そんな事に疑問を抱かなかったため、却って説明するのに苦慮した。その方がソナチネを作曲していた時、「オーケストラのためのソナタは交響曲だし、弦楽四重奏曲の多くは弦楽四重奏のためのソナタだ」と僕が言うと、「ソナタはなぜそんなに重宝されているのか」と訊かれた。歴史の話をすれば長くなる。益々質問が増え、墓穴を掘る。「対照的な2つの主題には潜在的な共通点があり、提示部の要素だけで意表を突くドラマを構築…