昭和天皇の戦争責任論は、今も二分される。少なくとも、1941年12月8日の「開戦の詔書」で昭和天皇が戦争開始を聖断し、1945年8月14日「終戦の詔書」で終戦(敗戦)を聖断している点からすれば、天皇の最終判断で対英米戦争の始めと終わりを決断しており、戦争責任は天皇にあると私は考える。 本書は、2019年にNHKスペシャルで放送された「昭和天皇は何を語ったか~初公開・秘録“拝謁記”~」を一つの転機としている。初代宮内庁長官田島道治の膨大な日記「拝謁記」が発見され、従来の昭和天皇の通説を覆すような新事実が発見され、複数の研究者が検証している内容を、長年昭和天皇を研究している著者として昭和天皇の戦争…