岩本馨氏の明暦の大火: 「都市改造」という神話を読んだ。明暦の大火は明暦三年正月十八日から二十日にかけて発生した。これを西暦に変換すると1657年3月2から4日となり、江戸幕府が開けてから約半世紀後の早春に起きた火災であることがわかる。この大火災の後幕府は、「江戸城内吹上にあった御三家を御三家邸をはじめとする武家屋敷を城外に出し、江戸城周辺の武家屋敷の大規模移動を行い、外郭内の寺院を外濠外あるいは新開地に移動させ、市内には広小路・火除明地・火除け堤を設けて火災の延焼防止を図った」というような説明を見ることが多いが、本書は果たしてこれはどれぐらい正しいのかという事を検証した研究だ。著者は本研究・…