五官百骸の主は動にあり、実際には歩によって運ばれる。歩は身体の根源であり、運動の中枢である。故に応戦や対敵の際、全ては身体から出ているが、実際に身体の砥柱となるものは歩である。随機応変は手にあるが、手が転移するためには歩が必要である。歩がなければ、どのように進退反側は鼓蕩を為すのか。また歩がなければ、抑揚伸縮はどのように変化の妙を示すのか。機関の鍵は眼にあり、変化は心にあるが、転変抹角、千変万化によって窮地に立たされることを避けるのは、歩が司っているのではないか。それは無理に達成されるものではない。動作は無心から出て、鼓舞は知らずして出る。身体が動を欲すれば歩もまた周旋し、手が動けば歩も迫るよ…