浅草オペラ館演目 (東京都立博物館) 昭和19年(1944) 1月1日、曇って暗く正月元日は秋の夕暮れのようだ。小鳥も鳴かず犬の声もせず門巷は寂寥として昼もまた夜のごとし。 ・・このニ三年食物の事で忘れがたい人々の名を左に記す。 一 凌霜草廬主人(相磯)時々ハム鶏肉萩の餅ジャムなどをいただく。 一 兎屋怗寂子(谷口)いつも砂糖菓子炭をいただく。 一 西銀座おかざき 毎年盆暮れの贈物。 一 小堀杏奴 邸内の野菜を贈られる。 一 杵屋五叟 味噌醤油などおりおり足りなくなる時もらいに行くところ。 一 隣組渡部さん 毎日野菜の配給物をもってきてくれる人である。 一 熱海大洋ホテル主人(木戸)洋酒バター…